デビュー30周年の高野寛が「まな板の上の鯉」となったアルバム「City Folklore」

岡村詩野の音楽日和

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2019/10/16 11:30

「だいたい2~3時間くらいの滞在時間の半分は、機材や音楽の情報交換や世間話で終わってしまうのですが(笑)、短時間に集中して歌うモチベーションが保てたのは大きかったと思います。もちろん基本、歌入れ以外はその前にメールのやりとりで少しずつ進めていきました。まず自分で録音したギターと歌とリズムだけのシンプルなデータを送って、それを元にアレンジの肉付けをしてもらいました。僕が録ったギターがそのままOKテイクに使われている曲もあれば(「もう、いいかい」「ピエールとマリの光」「Altogether Alone」「停留所まで」)、逆にメロディ以外はコードもすべてリハーモナイズされたリミックス的手法で作られた曲もあります(「Wanna be」「TOKYO SKY BLUE」「ベステンダンク」)。「はれるや」も軽いリミックス、「魔法のメロディ」は、僕のコード進行を元に少し冨田さんの味付けが加わったハイブリッドです」

 今回、高野自身がニュー・アルバムに寄せて筆者にこう語ってくれたように、プロデュースと言ってもあくまで共同作業。とはいえ、アレンジ自体はほぼ冨田に任せた、いわば「まな板の上の鯉」状態だったと話す。冨田はアレンジャー気質の強いプロデューサーなので、高野が書いた骨格のしっかりしたメロディの楽曲に豊かな膨らみを与える結果となったのだろう。

「実は当初、アルバムの候補曲が他にもあったのですが、仕上がってきたサウンドを聞きながら『あの曲のほうが面白そうだ』と、全体のバランスを考えながら合いそうな曲を選んで、録音しながらアルバムのピースを埋めていきました。ライブで歌いなれていた曲も冨田さんのアレンジで歌うと新鮮で、今までとは違う歌の表現もできたと思っています。歌とギターに専念できたことで、歌詞の細部を吟味する時間が長くとれたのもよかったです」

 新作は9曲入りながら、ボーナス・トラック(CD)としてアルバムの曲のデモ音源やライヴ音源も収録。そのデモの中には20年前のものもあり、高野が丁寧に時間をかけて1曲を熟成させてきたことがわかる。

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