早期退職も考えた… プログラミング教育必修化で校長に必要なこととは?
連載「61歳の新入社員 元校長のプログラミング教育奮闘記」
61歳で公立小学校の校長を定年退職した福田晴一さんが「新入社員」として入社したのはIT業界だった! 転職のキーワードは「プログラミング教育」。全国を教員研修で回っているうちに63歳となった。小学校プログラミング教育必修化まで半年と迫り、現実味を帯びてきた。今回は管理職研修についてお届けする。
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我々が行なっているプログラミング研修は、現場の教員向けがメインであるが、今年の2月、ある政令都市から依頼を受けた「校長研修会」を皮切りに、本年度に入ってからは区市町村単位の「校長研修」を数回実施するなど、需要が増えている。
どんなに情報教育に堪能な教員、プログラミング教育を必死に推進しようとしている教員が在職していようと、学校教育活動の最高責任者である校長が首を縦に振らないと、日々の教育活動に導入されてこない。やはり校長はプログラミング教育のキーマンだ。校長の胸算用一つで取り組みの格差が生じてくるといっても過言ではない。
そう、「校長研修」の大きな目的は校長にプログラミング教育の必要性を説き、プログラミングの醍醐味(だいごみ)を体験してもらうことにある。
二つ目の目的は、予算化への後押しである。プログラミング教育を進める上で、新しい備品や教材を導入することは必須になるが、これも校長の決裁となる。細かい話だが、学校で購入するものは「消耗品」と「備品」の2種類に分類され、ふたつを分ける金額の線引きも自治体によって異なる。私が校長をしていた当時の東京都杉並区では、5万円以上が備品扱い。同じ東京都でも市部によっては2万円からになるし、財政に厳しい自治体では1万円からになる。消耗品は比較的気軽に購入できるが、備品を購入する場合は、きちんと見積もりをとって購入先を選定し、備品台帳に記載し、その教材に「備品シール」を貼り、在庫管理する必要がある。コンピューターなどは当然備品扱いになるので、購入までに労力がかかる。つまり、学校に新しい教材が導入されるかどうかは、どれだけ校長がプログラミング教育に理解と必要性を感じているかが、勝負となる。