歴史的勝利につながるトライを決めた福岡堅樹(撮影/写真部・東川哲也)
歴史的勝利につながるトライを決めた福岡堅樹(撮影/写真部・東川哲也)
トライを決めて喜ぶ福岡堅樹(右)と松島幸太朗(撮影/写真部・東川哲也)
トライを決めて喜ぶ福岡堅樹(右)と松島幸太朗(撮影/写真部・東川哲也)

 自国開催のラグビーワールドカップで初のベスト8入りを目指す日本代表エース、福岡堅樹がメンバーに戻ってきた。

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 9月28日に行われた1次リーグのアイルランド戦。後半10分から出場した福岡は3点差を追う同18分、日本ボールのスクラムから始まった連続攻撃の末、センター(CTB)のラファエレ ティモシーからパスを受けてインゴールに走り込んで逆転トライを決めた。強豪アイルランドから奪った初めてのリードに、歓喜と驚きでスタジアムが揺れた。

 福岡はこう振り返る。

「ティム(ティモシー)があそこでもらった時点で絶対放ってくれるのはわかっていた。ティムも自分がそこにいるのをわかって見ずに放っていた。お互いあうんの呼吸で、自分はティムのことを信頼して走り抜けるだけだと思っていました」

 W杯開幕前の9月6日に行われた南アフリカ戦で右ふくらはぎを負傷し、全治4週間の診断を受けた。初戦は23人の登録メンバーから外れ、2戦目のアイルランド戦も当初は登録に入っていなかったが、ウィング(WTB)のウィリアム・トゥポウの左足負傷で急きょベンチ入りすることになった。

「(出場の)可能性としては昨日の時点で言われていたんですけど、わからない状態だったので、自分としてはいつでも出られる準備をして待機していました。ドキドキはありましたけど、自分らしいパフォーマンスができる状態という意味では準備ができていたと思います」

 初戦のロシア戦でハットトリックを達成し、ジェイミー・ジョセフ監督から「フェラーリ」と評されたウィング(WTB)の松島幸太朗から「僕の中のフェラーリは福岡堅樹です」と称えられたスピードスターだ。父親は歯科医師、祖父が医師で、ラグビー選手は来年の東京五輪7人制を最後に引退し、医師を目指すといい、15人制ではこのW杯が最後の大会となる。

 この日はトライの場面以外にも見せ場があった。

 後半残り3分。自陣22メートルライン付近でインターセプトし、インゴール手前まで50メートル以上も独走。インゴール手前で相手に捕まったが、持ち味の俊足でスタジアムを沸かせた。

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「最低限の仕事ができたかな」