建てて20年以上経った物件をリフォームする場合は、耐震性のチェックをしたほうが安心だ。国土交通省のデータによると、戸建て木造住宅約2450万戸のうち、81年以前に建てられた約900万戸が耐震性不十分とされる。

 木造注文住宅のリフォームに定評のある、住友林業ホームテック常務執行役員の大澤康人さんが、家の基礎補強工事について教えてくれた。大澤さんは一級建築士の資格も持つ。

「現状の建物を把握し調査することが大切で、当社では耐震診断を実施し、最適な補強プランを提案します。基礎に、鉄筋の入っていない『無筋コンクリート』が使われている家は珍しくありません。経年劣化によりコンクリートにひびが入るケースもあります。この場合、当社ではスミリンARC工法という技術を使ってコンクリート基礎を補強していきます。帯鋼(薄い鉄板)とアラミド繊維シートという素材をエポキシ樹脂でコンクリートに接着していく工事で、新しく作り直すより費用が抑えられます。柱と土台の接合が心配ならスミリンJEM工法、梁そのものを強くしたいなら合成接着梁工法、壁を強くする場合はオリジナル面材耐力壁工法を使うなど、さまざまな部位の耐震性向上に当社独自の技術を使えます」(大澤さん)

 首都圏の新築マンションの供給戸数は2000年に天井を打った。つまり、ここから築20年を迎える=リフォーム予備軍がピークになる。増税前に工事が完了するような、トイレやキッチンなどの小規模リフォームに駆け込むもよし、10月以降に適用される国交省の「次世代住宅ポイント制度」を使って本気の改築をするもよし。その際はくれぐれも“工事以外の大きな出費”もお忘れなく。(ライター・伊藤忍)

AERA 2019年8月26日号より抜粋