ぐっちー「岩手の『オガール祭り』に習う電通・博報堂に頼らない地方イベントの回し方」

連載「ここだけの話」

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写真:合同会社koe提供
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 6年目を迎えた岩手県紫波町の「オガール祭り」が、大変な盛り上がりで終了しました。地元の催しとして完全に定着しており、電通・博報堂などが補助金をもらって一時的に宣伝して行う官主導のイベントとは全く異なるものです。運営もすべて地元の若者がやっており、地元の金を地元で回す資金循環をいかにサステイナブルにするかに徹底的にこだわっています。

 人だけは集まるが客単価が800円、揚げ句の果てはお金を使っているのはコンビニやスタバ……なんてイベントがそれこそ日本中にあります。それでは彼らが出すゴミの処理の方が大変です。ボランティアではないのです。まして、お金が東京資本に流れていくのでは本末転倒でしょう。

 オガール祭りではこういう矛盾をすべて潰すところから始めました。大体、「祭り」にしてはメニューが高い(笑)。500~600円のもの(いかの串焼き、やきとり、トリッパの煮込みなど)もありますが、1千円のカレーライスから果ては2500円のふかひれの姿煮や4千円のオマール海老まで。そんな高い所には人は来ない、という大方の予想を超えて、多少高くてもいいからおいしいものを食べたいというある意味豊かなお客様が集まりますから、酔っぱらいが大騒ぎなんて光景とは無縁です。親子連れやお年寄りどうしが安心してゆっくり楽しめる空間が実現しているわけです。

 地元の飲み屋、レストランなど地元資本以外の出店は一切ありません。今年はビールもほとんど岩手県産のクラフトビールに。材料もできるだけ紫波町産を使うという縛りをかけ、同じカレーでも紫波ポークのカレーライスとかになるわけですね。ワインも1本3千~6千円くらいのものが中心でこれが売れていくわけですから、客単価も2500円くらいは軽く行くわけです。結果的にお客様は楽しく地元資本の店が儲かる、という完全にウィンウィンの関係が成り立っています。

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