お金もかからないし、まずはやってみよう──。そう思った岡さんはYouTubeで筋トレの動画を探し、見よう見まねで腹筋やスクワットをはじめた。かわいいトレーナーさんを見ると、「こんなふうになりたい」とモチベーションが上がった。

 18年3月には、ジムにも通い始めた。次第に筋肉の使い方がわかるようになり、体脂肪は30パーセントから25パーセントまで減った。疲れにくくなり、夏バテもなくなった。

「2年前に退職してフリーランスになりましたが、8時頃には起きて夜は12時には寝るクセがついています。規則正しい生活を送れるようになったのは、毎日ジム通いをしているからですね。ご飯も美味しいです」

 精神的にも強くなった。以前は他人のちょっとした態度や発言が気になり、「嫌われているのでは」と疑心暗鬼になっていたが、今はいい意味で聞き流せる。「筋トレをはじめた当初、ブログのタイトルを『筋トレをしろ。うつが治るから』に変えたんですが、これは自分のモチベーションを上げるため。本当に具合が悪い時には病院に行ったほうがいいと思います。でも、うつが治らなくても、筋トレは楽しい。体が変わると、心も変わる。自分を好きになるためにも、体づくりは大切です」

(ライター・村田くみ)

AERA 2019年8月12・19日合併増大号より抜粋