ホルムズ海峡付近で被弾したタンカー (c)朝日新聞社
ホルムズ海峡付近で被弾したタンカー (c)朝日新聞社

 ホルムズ海峡を通るタンカーを各国の軍隊で守る構想を提唱した米国。だが追随する動きは乏しく、国際社会で米国の威信が失墜する可能性もある。 

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 米国が呼びかけた有志連合の成否はかなり怪しい。

 ハント英外相は7月22日、下院で「欧州主導の海上保護派遣団結成」を提案、すでに仏、独外相の支持を得ている様子だ。イラン核合意を支持している3カ国だけに、米国主導の有志連合に入ってイラン包囲の一角を担うつもりはなさそうで、有志連合に追随する国はごく少なくなる形勢だ。

 そうなれば米国の威信が失墜し、国際社会の指導者の座を去るという世界史の転換点になる可能性がある。

 一方、日本にとって有志連合への対応を難しくするのが「船籍」の問題だ。

 米国は「各国が自国の船を護衛すべきだ」と言うが、実は日本籍の外航船は昨年で219隻しか残っていない。船会社はパナマ、リベリアなどに子会社をつくり、持ち船の船籍をそこに置くことで節税し、賃金の安い外国人船員を自由に雇い、その船を雇う形で運航している。日本企業の支配下にあるこのような「便宜置籍船」は2192隻に達する。日本が護衛艦をはるばるホルムズ海峡まで派遣しても、日本船籍の船だけを守るのではあまり意味がないのだ。

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