AERA 2019年7月29日号より
AERA 2019年7月29日号より
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AERA 2019年7月29日号より

「今の仕事、向いてないかも」。ふとそんなふうに考えたことはないだろうか。隠された才能や適性を知ることで、今とは違う自分の姿が見つかるはずだ。

【図を見る】副編集長の診断結果は…

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「大丈夫。君が歩いている道は間違ってないよ」

 そう誰かに背中を押してもらった気分で、心が軽くなった。

「誰か」の正体は、自分の遺伝子だ。遺伝子検査を受けたところ、記者の資質にかかわる重要な要素、「言語性IQ」の結果が「高い」と出た。

 性格や才能に関連する遺伝子の研究が進んだのは最近のことだ。従来の研究では、病気の解明や治療につながる研究が優先されてきた。国や民間企業からの研究費もつきやすく、当然といえば当然だ。

「解析にかかるコストが下がり、疾患以外の領域の研究が進んできたのがここ5年ぐらいの動きです。食事や運動、睡眠と遺伝子の関係などの研究が進みました。性格もその一つです」

 そう説明するのは、日本初の個人向け大規模遺伝子解析サービスを開始したジーンクエストの代表で生命科学者の高橋祥子さん。同社では2014年から一般向けの遺伝子解析サービスを提供しているが、解析項目は年々増え、開始当時の200項目程度の1.5倍、300項目以上が今ではわかる。その中には、健康リスクや体質だけでなく、「外向性」「勤勉性」「政治・経済への関心」といった性格に関する項目も含まれている。

 性格や才能がわかるのなら、仕事への本来の適性もわかるのでは──。そう考えて立ち上がったのがこの企画。もしかして本当はこの仕事向いていない? もっと向いている仕事や隠された才能があるのでは? そんな不安や期待を含んだ「勝手に遺伝子適職診断」企画だ。

 記者(高橋)と本誌副編集長の上栗崇が、性格や才能に関連する様々な項目を検査したうえで、キャリアアドバイザーの高野秀敏さんの元を訪ねた。

 高野さん自身、遺伝子解析に強い関心を持っていて、自身の検査をしたこともあるという。

「私の遺伝子によれば、エピソード記憶が得意なタイプ。これまで1万人以上のキャリア相談に乗ってきましたが、顔や名前は忘れても、面談で聞いた前職の不満や転職のエピソードは割と覚えていますよ」と適職ぶりを披露される。

 はたして記者と副編集長の適性はどうか。

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