記者会見をした齋藤哲郎学校法人カリタス学園理事長、内藤貞子カリタス小学校校長、倭文覚教頭(左から)(撮影/川口 穣)
記者会見をした齋藤哲郎学校法人カリタス学園理事長、内藤貞子カリタス小学校校長、倭文覚教頭(左から)(撮影/川口 穣)

 川崎市多摩区の路上で28日朝、私立カリタス小学校の児童らが男に刃物で襲われ、19人が死傷した事件を受け、同小の内藤貞子(ていこ)校長らが午後6時20分すぎから記者会見を開いた。

【写真】事件現場。7時台は5本のバスが走り、通学のピークタイムだった

 この事件では、6年生の栗林華子さん(11)と、別の児童の保護者で外務省職員の小山智史さん(39)が亡くなり、児童16人が負傷した。

 内藤校長は「(亡くなった栗林さんは)おはようと声をかけると、笑顔いっぱいで『先生おはようございます』と返してくれるお子さんでした。本当に信じられません。今日も元気のいいあいさつが聞けるかなと思っていました」と声を詰まらせた。

 倭文覚(しとり・さとる)教頭も、涙ぐみながら栗林さんをしのんだ。倭文教頭が編入希望の児童と両親を連れ、校内を案内していたとき、休み時間だった栗林さんらが声をかけてきたという。「今度、編入したいって言っている子なんだ」と説明すると、栗林さんは笑顔で学校のことを説明したという。

「カリタス学園に来れば外国語をたくさん勉強できるよ、とか、宿泊学習が楽しいよとか、学校のいいところを笑顔いっぱいで話してくれていました。それが、あの子の最近の出来事で一番忘れられません」

 同校は31日まで休校する。再開後は外部のカウンセラーらの協力も仰ぎながら、児童のケアに全力であたるという。(編集部・川口 穣)

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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