雅子さまは、外務省に入った経験や育った環境からしても、多くの人々は当然皇室外交の発展を期待します。けれども、それをあまり背負わせてもいけないと思います。人は誰しも変わるんです。とくに結婚されて以来、ご苦労されている部分があるとすれば、「こういうふうに海外に発信してほしい」とか「それをしないのはなぜなのか」などと求めるのではなく、自分ができることを一歩ずつなされていくことを期待すべきだと思うんですね。 

 皇后になった人の過去と、持っているに違いない知識や経験を、今後のご公務や皇后としてのあり方に直接反映するということについて、私はそれを当然視したくはない、と考えます。 

 とくに皇后は快復の途上にありますから、折々のご自身の現実を、私たちにも見えるように、無理をしないように公務をしていかれること。そして私たちは一人ひとりの市民として、それを静かに見守っていけたらと思います。(構成/編集部・小長光哲郎)

※AERA増刊「ドキュメント新天皇誕生」掲載

著者プロフィールを見る
小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

小長光哲郎の記事一覧はこちら