「ネットは“悪”じゃない。大人が管理できる場所でITコミュニケーションを学ぶ経験も必要です。そのうえでリアルな交流の場ももちろんつくっています。リアルとネットの組み合わせが、真の対話力、思考力がある人材育成につながると考えています」(奥平校長)

 N高の生徒や保護者から「中学があればよかった」という声を受け、2019年4月に開校するN中等部(N中)は、東京と大阪のキャンパスへの通学コースのみ。その理由をN中開設準備室室長の為野圭祐さんはこう話します。

「中学時代は人間関係や情操教育が欠かせない時期。担任や他の生徒との対面でのコミュニケーションが必要です」

 N中の特徴の一つとしてあげられるのが、自治体や専門家と連携し開発した「ライフスキル学習」の授業。感情やストレスとの付き合い方、思考スキルをグループワークで学ぶプログラムを通して、多様な価値観に触れて自分を知ることで、“生きる力”を育みます。

「自分がどういったことに興味があるのか、面談を通じて一緒に目標を設定し、行動に移す力を育んでいきます。一般中学の部活動で身につけるような力ともいえま
す」(為野さん)

 そんなN中を目指すのは、画一的な教育に何かしらの違和感を覚えた生徒がほとんどだそう。

「不登校からなんとか立ち直りたい、個性の芽を摘まず伸ばしたい、などさまざまな生徒や保護者が、願書を出してくれています。どんな特性がある子たちにとっても、ワクワクするような授業を展開する予定です」と為野さん。

「AERA with Kids春号」では、N中・N高のプログラムや生徒の体験談など詳しく紹介しています。(取材・文/玉居子泰子)

※記事の内容は2019年1月取材時のものです

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2019年 春号 [雑誌]

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玉居子泰子
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