まるで部室のように賑やかな「OYO LIFE」のオフィス。スタッフの国籍もさまざまで、職場の雰囲気は、世界を席巻する勢いそのままにアツい(写真/石臥薫子)
まるで部室のように賑やかな「OYO LIFE」のオフィス。スタッフの国籍もさまざまで、職場の雰囲気は、世界を席巻する勢いそのままにアツい(写真/石臥薫子)
「OYO LIFE」の記者会見で。写真左からヤフーの川邊健太郎CEO、OYOのリテシュ・アガルワルCEO、OYO LIFE運営会社の勝瀬博則CEO(写真/石臥薫子)
「OYO LIFE」の記者会見で。写真左からヤフーの川邊健太郎CEO、OYOのリテシュ・アガルワルCEO、OYO LIFE運営会社の勝瀬博則CEO(写真/石臥薫子)

 日本の賃貸の常識を覆すサービスが始まった。部屋を借りる契約はスマホのタップ4回で完了。 孫正義氏も認めた「OYO」が狙うのは、新しい価値観を持つミレニアル世代だ。 

【「OYO LIFE」の記者会見の写真はこちら】

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サービスの詳細を知って、唇を噛んだ。

「ああ、あと数カ月早く、OYO(オヨ)があったらよかったのに……」

 そう悔しがるのは、今年1月に都内のシェアハウスに引っ越したばかりという会社員の村上大和(ひろかず)さん(27)だ。

 ホテルのように部屋を選ぶだけ、を売り文句に3月末にスタートした「OYO LIFE」は、敷金、礼金、仲介手数料が一切なし。スマホやパソコンで写真を見ながら物件を比較し、気に入れば「予約」ボタンをクリック。あとは携帯電話番号や名前、クレジットカードの番号を入れるだけ。たった4回のタップやクリックで契約が完了する。

 契約期間は1カ月単位。家具・家電も揃っているから、部屋が空いていれば手ぶらで翌日から住むことも可能だ。家賃にはWi‐Fiや公共料金も含まれているので、電気や水道、ガス会社と個別に契約する必要もない。

 そんな前代未聞のサービスに村上さんは「次回こそは」と期待を膨らませる。大学卒業後、3回転職し、そのたびに会社の近くの便利な場所に住み替えたいと思った。だが、都心部は当然家賃も高い。その分、敷金、礼金など最初に払う金額も跳ね上がるので、そこまでは払えないと諦めてきた。

「OYOは最初から月々の家賃だけ払えばいいし、家具・家電付きという点にも魅かれます。家具っていざ要らなくなっても処分が面倒だし、環境のことを考えればむやみに捨てることもできないので、できるだけ持ちたくないんです」(村上さん)

 OYO LIFEを展開するのは、世界6位のホテルチェーンを運営するインドのベンチャー企業OYO Hotels&Homesとヤフーの合弁会社だ。本格始動に先立ち、3月初めには「いきなり東京0円ライフ」と銘打ったキャンペーンを展開。くじに当たれば、六本木や銀座など超一等地の家賃数十万~100万円超という物件に1カ月間無料で住めると話題になり、サービス開始前に1万3千人超が事前登録した。契約室数も3月末時点で1008件に達しているという。

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