「我々はアマゾンと同じなんです。アマゾンに売っているものはほとんど、近所でも買えます。それでも皆さんなぜアマゾンで買うんでしょうか? それは、便利で快適だからです。いろんな種類の商品を比較できたり、自宅まで届けてくれたり、トラブルがあっても対処してくれたり。そういうサービスにプラスアルファのお金を払ってもいいという価値観を持つ人が増えているんです」(同)

 アマゾンの台頭によってリアル書店が苦戦を強いられたのと同じようなことが不動産業界にも起こるのか。物件のオーナーや仲介業者にとってOYOは脅威ではないのか。

「いえ、ウィンウィンの関係になれるんです」

 勝瀬さんは力強く言う。OYOは、オーナーや仲介業者から賃貸マンションや一軒家をまとめて借り上げる。さらにOYOの負担で家具などを揃え、内装をおしゃれにリノベーションして利用者に貸し出す。オーナーにとっては空室のリスクがなくなるし、物件の価値も上がる。「仲介業者にもOYOが仲介手数料を従来通り払うので、損はない」という。

 となると、OYOはいったいどこで儲かるのか。

「我々の収益は例えば14万5千円の物件だったら5千円くらいで大したことはありません。でも流通量が増えれば全く問題ない。日本の賃貸マーケットの市場規模は12兆円。その1%を取れるだけでも十分ペイします。今は都心部だけですが、今後は空き家問題を抱える地方でも物件を増やす予定です」(同)

 大量に借り上げるだけの資金力があるのがOYOの強みだ。本家のインドのOYOはユニコーン企業(未上場で時価総額10億ドル超)であり、孫正義氏率いるソフトバンク・ビジョン・ファンドからも出資を受けている。合弁会社設立にあたって組んだのも、ソフトバンク傘下のヤフーだ。(編集部・石臥薫子)

AERA 2019年4月15日号より抜粋