議論メシと東急電鉄のディスカッション。「社外」の人間がアイデアだけでなく程よい緊張感ももたらしてくれる(撮影/編集部・高橋有紀)
議論メシと東急電鉄のディスカッション。「社外」の人間がアイデアだけでなく程よい緊張感ももたらしてくれる(撮影/編集部・高橋有紀)
ワタシの成功体験は…(AERA 2018年12月17日号より)
ワタシの成功体験は…(AERA 2018年12月17日号より)

 業種を問わず「イノベーション」が求められる時代。会社からアウトプットを求められ、苦心するビジネスマンが増えている。そんな悩める人々を助けるべく、最近では、アイデアの「伴走者」ともいえるアウトプットのためのコンサルタントや、アウトプットと企業をつなげる取り組みまで登場している。

【アンケート結果】みんなの成功体験は?

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 アウトプットに苦悩する人々に寄り添い、アイデアをビジネスにつなげる「伴走者」は、これからますます求められそうだ。さらに、そうした人たちを「組織化」して企業とつなぎ、アウトプットの質を高めたい企業ニーズに応えようとする取り組みもある。

「2040年には強い個性を持った街が選ばれるのではないか」「どこでもドローンを飛ばせるドローン特区や、どこに落書きしてもいいグラフィティ特区などを作ってはどうか」

 11月のある日、東急電鉄の会議室では「2040年の田園都市線はどうあるべきか」をテーマにディスカッションが繰り広げられていた。参加者は、東急電鉄の若手社員11人。そして議論の“壁打ち相手”の5人だ。

 5人は「議論メシ」と呼ばれるチームのメンバー。議論メシは昨年11月からスタートした有料会員制サロンで、その名の通り「議論でメシを食っていきたい人」が集まる。ディスカッションの素養を磨き、課題解決やプロジェクト推進、事業創造につなげようというコミュニティーだ。フリーランスから会社員、経営者まで職種問わず200人の会員が登録する。

 主宰する黒田悠介さん(33)自身も、新規事業の案件を抱える企業などの議論相手となる「ディスカッションパートナー」をしている。その団体版が議論メシだ。ユニークなのは、会員から月額4千円を集め、クライアントである企業には無料で議論の場を提供する点だろう。

「企業からは、実践的なテーマをいただき(議論の)時間と場所を提供してもらえるだけでありがたい。議論のスキルを磨きたい議論メシにとって、テーマは“燃料”のようなものですから」(黒田さん)

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