若くして酸いも甘いも味わっているからだろうか、いまの南野のプレーからは端正な顔立ちには似合わない何かに飢えたような貪欲さや、これまでの鬱憤を晴らすような溌剌さが感じられる。小刻みなステップはキレキレで、ボールを持てばシンプルにゴールに向かう姿勢が、対戦相手の脅威になっているのだ。

 好調の要因について、南野はこう話す。

「悔しい思いもしたし、代表にまったく呼ばなれなかった時期も腐らずに、自分を信じてやってきたことが、いまにつながっている。自分自身、ターンや相手との競り合いでも、コンディションの良さを感じる部分はあります」

 南野の所属するザルツブルクは現在リーグ5連覇中と国内に敵なしの状態。だが、チーム内には激しいポジション争いが存在し、過去4季で2度2桁得点を記録している南野といえども、試合出場は安泰でない。

「チームに戻れば、また争いがある。今後も地に足をつけてやっていきたい」

 日々の練習から手を抜くことができない厳しい環境下に身を置いていることが、成長につながっているのだろう。

 本人は「まだどうなるかわからない」と謙遜するも、2019年1月~2月に控えるアジアカップ(UAE開催)でのメンバー入りはほぼ手中にしたと言っていい。かつてその甘いルックスでJリーガー切ってのイケメンとして注目された男は、何とも逞しくなって表舞台に戻ってきた。(スポーツライター・栗原正夫)

AERA 2018年10月29日号