4戦で3ゴールを挙げながらも「まだ自分は何も成し遂げていない」と語る南野。一見クールそうに見えるが、胸に熱い思いを秘めているのはプレーからも伝わってくる (c)朝日新聞社
4戦で3ゴールを挙げながらも「まだ自分は何も成し遂げていない」と語る南野。一見クールそうに見えるが、胸に熱い思いを秘めているのはプレーからも伝わってくる (c)朝日新聞社

 森保一監督を迎えた新生・日本代表は3連勝と好スタートを切った。3試合すべてに唯一先発し、3戦連発で4ゴールを叩き出したのが南野拓実だ。

 改めて、この選手が今夏のロシアW杯にいたらと思ってしまった。サッカー日本代表MF南野拓実(23)のことである。

 圧巻だったのは、10月16日のウルグアイ戦。南野は開始10分に、中島翔哉(24)からの縦パスを相手陣内で受けると、トラップと同時に体を反転させマークに来たDFをかわして右足で一閃。66分にも、堂安律(20)が放ったシュートのこぼれ球にいち早く反応し、決勝弾となる4点目を決めた。

 エース格の1人FWルイス・スアレスを欠いていたとはいえ、世界ランク5位で、ロシアW杯ベスト8の“本気のウルグアイ”を相手に4-3と勝利した日本。派手な撃ち合いとなったが、2点を挙げた南野の働きは光った。

 とくに均衡を破ったという点では、1点目のゴールに価値があった。南野のマークに当たっていたのは、スペインの強豪アトレティコ・マドリーでも長く活躍し、世界屈指のCBとして知られるディエゴ・ゴディン。そんな歴戦の猛者にも、まったく臆することなく対峙しているあたりは、23歳にして海外で約4年を過ごしている経験が物を言っているかもしれない。

「強豪のウルグアイだからといって、特別な気持ちはなかった。いつも通り、試合前には自分が何をすべきかを整理して入りました。そりゃ、相手のCBはめっちゃデカくて、強かったですが……」(南野)

 敵陣深い位置で味方からの縦パスを受け、素早く反転し、ゴールに向かう南野の姿は、ウルグアイ戦から遡ること4日前のパナマ戦でも見られた。その軽やかな身のこなしとゴールへの積極性こそが一躍、日本代表の新エース候補に名乗り出た南野の真骨頂と言ってもいいだろう。

 とはいえ、南野は突如表れた新星ではない。先に触れたように今季オーストリア1部のザルツブルクで5季目を迎えていることでもわかる通り、早くからその才能は注目され、14年には10代にしてブラジルW杯に臨む日本代表の予備登録メンバーに名を連ねたほどである。だが、16年に年齢制限のあるリオ五輪には出場したものの、A代表では15年に2試合に途中出場して以降、約3年間招集から遠ざかっていた。

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好調の要因について、南野はこう話す