困って、すがる前に… 「尼僧アイドル」が説く生き方

2018/10/11 07:00

【浄土宗西迎院副住職】光誉祐華さん(36)/歌を通して人々と仏教の懸け橋となるべく、2007年から、お寺やライブハウスで現役尼僧としてアーティスト活動を行っている(撮影/写真部・小原雄輝)
【浄土宗西迎院副住職】光誉祐華さん(36)/歌を通して人々と仏教の懸け橋となるべく、2007年から、お寺やライブハウスで現役尼僧としてアーティスト活動を行っている(撮影/写真部・小原雄輝)

 いつの時代でも、人は誰しも、みずからを導いてくれる何かを求めているのかもしれない──。

 今年7月、いわゆるオウム真理教事件の首謀者で元教祖の麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚(当時63)ら計13人の元幹部信者の死刑が執行された。平成という時代を象徴するこの事件をきっかけとして、世の人々の間に宗教への不信感が高まり、「宗教離れ」が加速したという人もいる。

 このとき仏教も「冬の時代」を迎えた。だが意外にも、仏教、それも伝統仏教では、すでに10年も前から「新たなる波」が押し寄せていた。

 そんな新時代を迎えつつある伝統仏教の立役者ともいえる若手、中堅の3僧侶たちに迫ってみたい。悲しみ、絶望、不安をはじめ「負の感情」をどのように和らげるのだろうか。

 彼、彼女らの動きをみるにつけ「生きている宗教」とは、その本質を変えることなく、人々が暮らす社会、時代に合わせて伝道の手法が変化していることがわかる。「不易流行」である。

「法を伝えるためのツール、そうとらえています。仏さまの前に座っていただく。そのためのきっかけづくりが歌です」

 仏教が古くから深く根づいた地・奈良県。過疎化が進む町の寺で副住職を務める光誉祐華(こうよゆうか)さん(36)は、聖職者らしく穏やかながらもきっぱりとした口調でこう話す。

 かつて「愛$菩薩(アイドルぼさつ)」のアーティスト名でライブ活動を行っていた光誉さんは、「尼僧アイドル」としてファンも多い。知る人ぞ知る「有名な尼さん」だ。だが奇抜な衣装とその活動名からか、「僧侶として信用できない」などとネット上ですさまじいバッシングも受けた。

 だが法名(ほうみょう)でもある現在の活動名に変えてからは、そうしたアンチの声もピタリとやんだ。

 仏弟子となった証しである法名。それを活動名とする。法名への改名が彼女の活動の「本気度」を世に知らしめた格好だ。

 そもそも光誉さんがライブ活動をはじめたのは11年前のこと。佛教大学を卒業後、実家でもある浄土宗西迎院に帰ってきた。だが檀家として集まる顔ぶれは60代以上の人ばかり。若い世代は集まらない。当時、こうした状況を光誉さんは憂いた。

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