春元さんはプロジェクトマネジャーとして週5日、9~16時勤務。状況に応じて在宅勤務に切り替えることもある。

「あっちこっち頭をぶつけ、回り道しながらここまで来ました。時短正社員の仕事はまだまだ貴重。きちんと実績を出して、続く人たちにも道が開けるよう頑張りたいです」(春元さん)

就職をしたい40、50代の元ハイキャリア専業主婦が増えている。企業側も優秀な人材の確保は最重要課題。相思相愛の関係に見えるが、二者の間にたちはだかるのは「時短」の壁だ。

 しかしいま、人手不足を背景に新たな動きが出始めている。春元さんが得た求人は、人材会社ビースタイルが今年1月に開始した、ハイスキル人材を仲介する「スマートキャリア時短正社員」という枠だ。

 リクルートワークス研究所の大嶋寧子(やすこ)さん(45)は言う。

「ブランクのある専業主婦が再就職をする際、ブレーキになるのは保育園など子どもの預け先の問題以上に、気持ちの問題が大きい。自らが家庭と向き合うなか築いてきた価値観や役割を精神的、家庭の状況的にもどの程度切り替えられるのか。あらかじめ見通せない不安が時短希望にもつながっている」

※AERA 2018年10月8日号より抜粋