一方、このプログラムの開発は、元子ども漫才コンビ「まえだまえだ」も、きっかけのひとつとなったとされる。コンビの兄のほう、前田航基くんは、漫才との出合いによって極度の人見知りを克服。大人と渡り合うほどコミュニケーション能力を磨いたそうだ。

 そんな、子どもにも効く笑育の現場、保育園での出前授業にもおじゃました。17年から笑育を導入している「幸いづみ保育園」(川崎市)だ。すでに3回目の出前講義で、幼稚園教諭免許を持つ芸人コンビ「アゲイン」が登場すると、子どもたちは大興奮。この日のお題は「なりきりしりとり」。ジェスチャーが何かを当ててもらいながら、しりとりをつないでいく。

 驚いたのは、子どもたちはアゲインが最初にやって見せた「(胸を叩いて)ゴリラ」「(吹く格好をして)ラッパ」といった例題をほとんどまねず、自由にしりとりをつないでいったこと。それも例えば、「(なぜか直立不動で)銀歯」とか「(手をぶらぶらさせて)しびれ」とか。その自由さに恐れ入りまくり。同園の齊藤直美園長が言う。

「保育園でも今どきの人気者はおもしろい子。笑育は、自信を持って小学校に上がってほしいと、始めた試みのひとつです」

 いやいや、もう十分おもしろい。おばさん、弟子にしてください。(ライター・福光恵)

AERA 2018年8月27日号