「脳は6割が脂でできている『脂の海』で、40代から少しずつ萎縮していって、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を取っていないとその分アミロイドβがたまって認知症になりやすい。魚の脂はとても体にいいのですが、体内で酸化しやすい。この酸化をブロックしてくれるのがビタミンEで、緑の濃い野菜にたくさん含まれているのです」(同)

 互いに補完し合い、体のバランスを整えてくれる5色プラス5色の食材管理術。なかでも最もオールマイティーで重要なのは、タンパク質では「白」、野菜・果物では「緑」で、青汁を牛乳で割って飲むと栄養価的に満たされるという。また、枝豆は緑黄色野菜と豆の栄養を兼ね備えたスーパービーンズで、タンパク質の「茶」と野菜・果物の「緑」の2色をカバーできる。

ここで、注意しなければならないのは塩分だ。DHAやEPAを多く含む健康食品として近年注目されるサバ缶は特に要注意だという。値段の安いサバ缶は、素材の味をごまかすために塩分濃度が高いからだ。

「サバもイワシもサンマも安い缶詰にはすごくしょっぱくて、1食あたりの摂取限度量を超える2.5グラムも塩分があるものがある。特に年配の方には塩分は1グラム程度のものを勧めています。塩分の取りすぎは血管の寿命も縮めるし、ミネラルバランスを崩して細胞のがん化にもつながります」(同)

 市販菓子にも注意が必要だ。ビタミンCの豊富なじゃがいもが原料だからといって、ポテトチップスを野菜・果物の「白」にリストアップしてはいけない。

 小山さんが「隠し球」として常備を勧めるのがナッツ(特に緑色のピスタチオがオススメ)、ドライフルーツ(プルーンやイチジクなど)、そして亜麻仁油などのオメガ3脂肪酸だ。

「ピスタチオは枝豆同様栄養価が高く、ドライフルーツは鉄分やカリウム、食物繊維が取れる。ただしオメガ3脂肪酸は熱に弱いので必ず低温圧搾したものにしてください。そして、『秘密兵器』はスキムミルクです。全ての栄養素が入っていますから。少し値は張りますが、大人用の粉ミルクもありますよ」(同)

 しかし、これらはあくまで非常時の「隠し球」だ。5色プラス5色の食材は、好みや買いやすさでマイリストをつくり、少しずつ実践に移していくことが大切だ。人間は食べたものからしかできていないのだから。(編集部・大平誠)

AERA 2018年8月27日号より抜粋