福田前財務次官のセクハラ疑惑について記者団の質問に答える麻生太郎財務相=4月17日[AERA 2018年8月6日号より、写真= (c)朝日新聞社]
福田前財務次官のセクハラ疑惑について記者団の質問に答える麻生太郎財務相=4月17日[AERA 2018年8月6日号より、写真= (c)朝日新聞社]
関学大への謝罪後、報道陣に頭を下げる内田正人前監督。ピンク色のネクタイも批判を受けた(上)、伊調馨選手へのパワハラ問題で謝罪する栄和人氏(左下)、右下:獣医学部設置をめぐる問題で会見した加計孝太郎氏[AERA 2018年8月6日号より、写真= (c)朝日新聞社]
関学大への謝罪後、報道陣に頭を下げる内田正人前監督。ピンク色のネクタイも批判を受けた(上)、伊調馨選手へのパワハラ問題で謝罪する栄和人氏(左下)、右下:獣医学部設置をめぐる問題で会見した加計孝太郎氏[AERA 2018年8月6日号より、写真= (c)朝日新聞社]
セクハラ疑惑で辞任の意向を明かし頭を下げる福田淳一前財務事務次官(上)、公文書改竄問題で辞任を表明した佐川宣寿前国税庁長官(下)[AERA 2018年8月6日号より、写真= (c)朝日新聞社]
セクハラ疑惑で辞任の意向を明かし頭を下げる福田淳一前財務事務次官(上)、公文書改竄問題で辞任を表明した佐川宣寿前国税庁長官(下)[AERA 2018年8月6日号より、写真= (c)朝日新聞社]

「申し訳ございません」。そう頭を下げる姿を今年はよく目にする。謝っているのに、見ていて逆にムカムカしたり。悪いことをした人のはずなのに、むしろ好印象を持ったり。正しく謝れば、事態は逆転できる。謝り方で全てが変わる。

【写真】日大、加計…問題の会見から振り返る「謝り方大失敗」の共通点とは

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「福田の人権は、ナシってことなんですかぁ」

 セクハラで傷ついた女性への配慮より、当のセクハラ事務次官の「人権」を優先させて煙に巻こうとした麻生太郎財務相の見事な居直りぶりには恐れ入ったが、不祥事案の釈明をしようとしてやり方を間違え、火に油を注いで収拾がつかなくなったケースはこれだけではない。

 日本大学アメリカンフットボール部の危険タックルを巡る一連の対応。決裁文書の改竄やセクハラ問題で財務省が晒した末期的症状。獣医学部新設の疑惑の核心を突く愛媛県の公文書を否定するため「首相と面会したという架空の報告をした」と発表して、自らが信義則に反する団体であることを世間にアピールしてしまった加計学園……。

 上半期を振り返るだけでも、今年は「謝り方大失敗」の当たり年だ。これらのケースの何が悪かったのか、正しいやり方はあったのか、またSNS全盛時代における不祥事案への対処に何が求められるのかを専門家の意見をもとに分析してみよう。

「日大、加計学園、財務省。それと女子レスリング五輪金メダル選手を何人も育てた栄和人氏がパワハラに問われ、擁護姿勢から一転、栄氏を解任した至学館大学の対応。この四つは組織の抱える根本原因が同じであるとともに、危機管理上絶対にやってはいけない3原則を破っている。計ったように同じ最悪の対応をしてしまいましたね」

 こう語るのは、「リスク・ヘッジ」社長の田中優介氏(31)だ。先代社長の父・辰巳氏(65)はリクルートの広報課長などを歴任、独立して危機管理コンサルタントとして名を馳せた。今年、社長業をバトンタッチされた優介氏自身もセイコーウオッチでお客様相談室や広報部など危機管理部門に従事、4年前に退職して父と二人三脚で危機管理のケーススタディーを積み、この6月には『疑似体験ノベル危機管理 スキャンダル除染請負人』(プレジデント社)を著した。

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