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労使のプロが警鐘「フリーランスが新しい自由な働き方だと幻想を抱くのは禁物」

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渡辺豪AERA#働き方
山崎憲(やまざき・けん)/1967年生まれ。東京都出身。博士(経営学)。専門は労使関係、人的資源管理。著書に『「働くこと」を問い直す』(岩波新書、2014年)ほか(撮影/編集部・渡辺豪)

山崎憲(やまざき・けん)/1967年生まれ。東京都出身。博士(経営学)。専門は労使関係、人的資源管理。著書に『「働くこと」を問い直す』(岩波新書、2014年)ほか(撮影/編集部・渡辺豪)

 フリーランスの働き方に未来はあるのか? 労使関係の専門家で、『「働くこと」を問い直す』を著した労働政策研究・研修機構の山崎憲主任調査員に聞いた。
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 長期雇用を前提とする日本の社会保障制度や労働慣行が根本から変革されない限り、フリーランスの働き方を肯定的に捉えるのは困難だと思っています。経済に新たな風を吹き込むイノベーティブで創造的な起業家になる可能性をもったフリーランサーもいるでしょう。しかし、多くはそうではありません。

 シェアリングエコノミー下で働くのは、国際的にもミレニアル世代が中心と言われています。若年層はデジタルプラットフォームに抵抗がないことなどが背景にあると思われますが、「新しい自由な働き方」と幻想を抱くのは禁物です。

 フリーランスは年齢層で二分化する傾向が見られます。長年磨いた職業スキルを生かして独立した人は、人脈も豊富で受注が安定しています。問題は若くて単純な業務に従事させられている人たちです。生活が不安定なため失業・休業保障は大事ですが、それも一時しのぎにしかなりません。単純労働で低賃金が固定され、ステップアップするはしごがほぼないからです。

 社会保険労務士になりたい、という学生に以前、こうアドバイスしたことがあります。「大学在学中に資格を取ってすぐに事務所を開設しても持続できないよ」と。企業の人事部で長年働いて顧客を開拓した人が独立しているのが実情で、どの職業もスキルを磨く修業期間を経ずに開業するのは無理があります。

 日本の年金制度の軸は、会社員や公務員として長く勤めた結果得られる厚生年金や共済年金です。国民年金だけでは、フリーランスの多くが老後の生活を維持する額を受給できません。国民健康保険も、企業の従業員が加入する組合健保などと比べて割高で、保障も不利性が否めません。

 日本企業は、個別業務への対価ではなく、社員の総合的な能力を加味し給与査定しています。このため、特定業務を外注する場合、業務単位の賃金体系が確立されている米国などと比較すると、フリーランスの対価はばらつきやすく、低く抑えられがちです。


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