ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 世紀の米朝首脳会談が終わりました。私はドナルド・トランプ氏と1987年から2年ほど一緒に仕事をしたことがあり、それを踏まえて、大統領選挙前からブログでいろいろ書いてきましたが、今回のこの結末は「想定内」。これは世紀の会談などではなく、「怪談」ですね。

 彼にとってはどういう議論があり、将来どういうビジョンがあるかなんてことはどうでもよいことで、いかに自分自身をショーアップできるかにすべての意識が集中されているのです。日朝首脳会談も、金正恩氏も、彼から見れば自分をショーアップするツールでしかありません。トランプ氏が司会をつとめたテレビ番組「アプレンティス」やプロレス団体WWEで身に着けてきた技術が炸裂したわけです。

 一般的にトランプ氏の支持者は、ラストベルト地帯の白人男性だと決めつけられるわけですが、実際はそればかりでもない。90年代からインテリ層たちの間で主流になった考え方(男女、人種、マイノリティーの差別などもってのほかで、健康的な生活を送り、エネルギーや環境問題を考え、サステイナブルな世の中をつくる)を、大学を出たような高学歴のアメリカ人はみんな持ち始めたと我々は勘違いしていたわけです。

 わかりやすく言えば、「体に悪いからジャンクフードはやめて、オーガニックハンバーガーを食べましょうね、それもあまりよくないから、せめて1食は野菜にしましょう、そしてジムもちゃんと行って自己管理をして……」。それが未来のアメリカ人だと考えていたインテリ層がアメリカの主流に見えたわけで、そんな人たちがトランプなんぞ支持するわけはないと思っていたら、大統領選挙で勝ってしまった。

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