台湾の在宅医療、日本で培われてきたノウハウを取り入れながら独自進化 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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台湾の在宅医療、日本で培われてきたノウハウを取り入れながら独自進化

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松田良孝AERA#中国

住宅街の一角にある都蘭診療所。隣に海外のサーファーも利用する宿泊施設があり、外国人が診療所を訪れることもある=1月22日(撮影/ジャーナリスト・松良孝)

住宅街の一角にある都蘭診療所。隣に海外のサーファーも利用する宿泊施設があり、外国人が診療所を訪れることもある=1月22日(撮影/ジャーナリスト・松良孝)

総合病院まで車で1時間半という地域で往診。余尚儒氏(左手前)は「生活中心の医療」を目指す=1月22日、台湾台東県東河郷北源村(撮影/ジャーナリスト・松田良孝)

総合病院まで車で1時間半という地域で往診。余尚儒氏(左手前)は「生活中心の医療」を目指す=1月22日、台湾台東県東河郷北源村(撮影/ジャーナリスト・松田良孝)

 台湾政府の予測によると、高齢化率は今年14%に達し、高齢化社会に入る台湾。台湾の高齢化は日本を上回る早さで進展しており、2060年には高齢化率で日本を追い越すという予測もある。そんな台湾で高齢先進国・日本のノウハウを取り入れた在宅医療が進みつつあるという。

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 台湾の高齢者介護には、日本との間に大きな相違点が二つある。ひとつは介護保険制度がないという点。もうひとつは外国人ケアワーカーの存在である。台湾政府労働省によると、今年1月末で台湾では25万1508人の外国人が家事や高齢者介護のために働いており、このほとんどが女性による住み込みのケアワーカーだとみられている。人口2350万人の台湾において、100人に1人以上という高い割合である。内訳はインドネシア人が最も多い19万2120人(76.4%)で4人のうちほぼ3人を占め、3万1363人(12.5%)のフィリピン、2万7495人(10.9%)のベトナムと続く。

 余氏は外国人ケアワーカーについて「能力があれば、きちんと教えることによって実行してもらうことができます」と述べ、介護を受ける側の利益が大きい場合があるとするが、「そのノウハウや技術は台湾には残りません。時期が来たら必ず本国に帰らなければならないからです」と指摘する。

 台湾では、在宅介護のケアワーカーは労働基準法の適用を受けないため、介護以外に家業を手伝う安価な労働力として扱われるなど外国人労働者自身にふりかかる問題が指摘されるほか、介護労働の専門性が理解されにくくなる結果を招き、「若いみなさんが介護分野に入りたがらない」(中台科技大学の徐明【にんべんに「方」】(シュミンファン)助理教授)と人材育成にも影響が出ている。

 高齢者のケアに関する環境が異なる以上、日本で培われてきた在宅医療をそのままの形で台湾に持ち込むことは難しい。

 台湾ではもともと、医師が往診を行う場合には衛生当局に事前に診察の計画を伝えるものと定められていた。患者の自宅ではパソコンと読み取り機を使ってICチップ入りの健康保険証をスキャンし、計画通りに診察していることを記録しなければ、診療報酬は支払われない。「しかし」と余氏は言う。


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