「CREA WEB」で1年半、連載しているあいだ、SNSで大きな反響が寄せられた。
「『うちもそうでした』『私は今こうです』というリプライや、詳細な感想もたくさんいただきました。震災などもそうでしょうが、本当に大変な経験をしているからこそ、タイムラインにあがってこない声があるんだと思います」
これまで描いてきた作品との違いは、「載っている情報が役に立つこと」だと言う。
「とくに親が入院してから亡くなるまでにどんなことが起こるか、見守っている家族の気持ちもあらかじめ知っておくのは大事です。葬儀のとき、私は死にたいくらい疲れたんですが、情報としてわかっていれば『ああ、疲労のせいだな』と客観的になれる。日本の葬儀は親族が休めないシステムになっていますから」
さて、タイトルにもなっている「ありがとう」を、瀧波さんはどのタイミングでお母さんに伝えたのか。答えは本のなかで探してほしい。(ライター・矢内裕子)
※AERA 2018年5月14日号