投手としても打者としても順調な滑り出しをみせた大谷翔平 (c)朝日新聞社
投手としても打者としても順調な滑り出しをみせた大谷翔平 (c)朝日新聞社

 投手と打者の「二刀流」に挑むエンゼルスの大谷翔平(23)が、大リーグでも旋風を巻き起こしている。開幕から1週間足らずで初安打、初勝利、初本塁打を記録。新人の本拠デビュー戦から3試合連続本塁打は、大リーグ史上4人目の快挙で、アメリカン・リーグの週間MVP(最優秀選手、4月2~8日)も受賞した。エンゼルスタジアムでは大谷が登場すると、一斉に「オオタニ」コールがわき起こる。

 3月29日(日本時間30日)、カリフォルニア州オークランドであったアスレチックスとの開幕戦は8番・指名打者で先発出場すると、初打席の初球を右前にはじき返す。4月1日(同2日)の初先発登板では最速160キロを投げ込み、6回を3失点で勝ち投手になった。

 地元の同州アナハイムに戻ると、4月3日(同4日)のインディアンス戦は本拠初打席で右越え3ランなど、4打数3安打。4日(同5日)はサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を2度受賞したコリー・クルバーから2ラン。6日(同7日)は飛距離137メートルの特大ソロを中越えに運んだ。投手で出場した8日(同9日)は7回1安打無失点、12奪三振の快投だった。

 順風満帆ともいえる、大リーグでのスタート。大谷自身も「すごく順調に来ているとは思います。やっぱり、ホームの開幕戦、デビュー戦でしっかり打てる、ホームランが打てるというのも、あまり予想をしてなかったですし。出来過ぎなんじゃないかなと思います」と、好調を自覚している。

 主にキャンプ地のアリゾナ州であった開幕前の実戦は不振で、米メディアには「マイナーから始めるべき」との論調もあった。いま、現地は「二刀流」への期待一色だ。昨年は大谷の故郷、岩手まで取材に出向いたロサンゼルス・タイムズのディラン・ヘルナンデス記者は「アスリートとしての格が違う。絶対に成功するとは思っていたけど、それが最初の1週間で来るとは」と驚きを隠さない。

 投球に関してはアリゾナ州が湿度10%台と乾ききっていたのに対し、カリフォルニア州は60%台と過ごしやすく、滑りやすいとされる大リーグの公式球も手になじむ。さらに、他の投手からのアドバイスを受けて、こまめに指先へ息を吹きかけて湿り気を保つようにするなど、細心の注意を払っている。

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