米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設の建設予定地が、 軟弱地盤であることが判明した。工事の進捗に影響しそうだ。
* * *
「まさかこれほどひどい数値だとは……正直驚きました」
そう打ち明けるのは、沖縄県名護市辺野古沿岸部での新基地建設工事に反対する市民団体メンバーで、元土木技術者でもある北上田毅氏だ。
辺野古新基地は、キャンプ・シュワブ先端部の陸域をかすめる形で沿岸域約160ヘクタールを埋め立てる計画だ。埋め立て予定海域の地質調査は、防衛省沖縄防衛局が2014~16年にかけて、計24カ所のボーリング調査や磁気探査などを実施。北上田氏らが情報公開請求し、3月に入手した、この地質調査の報告書によると、北側の大浦湾側で多数の軟弱地盤が測定されていた。
特に深刻なのは、埋め立て海域で最も深い「C1」と呼ばれるケーソン護岸建設予定地付近にある「B-28」と「B-26」の二つの調査ポイントだ。この海域は谷間地形で、地下約40メートルにわたって軟らかい砂や粘土が堆積。この地層部分で地盤の強度を示す「N値」がゼロだったのが、B-28で23地点、B-26で8地点に上った。
N値は、重さ63.5キロのハンマーを75センチ落下させ、サンプラー(試験杭)を30センチ地中に打ち込むのに必要な落下回数だ。N値が大きいほどその地盤は強固とされ、大型構造物の基礎としてはN値50以上が望ましいとされる。これが「ゼロ」というのは、どういう状態なのか。北上田氏は言う。
「ハンマーを落下させる前に、サンプラーをセットした段階でズブズブと地中に沈んでしまって測定できない状態。マヨネーズのような地盤です」
報告書は、大浦湾に面した北側の護岸建設予定地の海底地形について「当初想定されていないような特徴的な地形・地質が確認された」と指摘。B-28やB-26のエリアに当たる「谷地形」に関しては、「非常に緩い・軟らかい谷埋堆積物(砂質土、粘性土)が層厚40メートルと非常に厚く堆積」「N値は0を示すものも多い」と明記し、「構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必須」と警告している。