義務教育についてどう考えたらいいのか(※写真はイメージ)
義務教育についてどう考えたらいいのか(※写真はイメージ)

 多くの人が100歳前後まで生きる「人生100年時代」を迎える日本。そんな時代を生き抜くために、子どもたちにはどんな能力が必要になるのだろうか。子どもたちの義務教育についてどう考えたらいいのか、専門からに聞いた。

 小学校入学から高校卒業までの12年間は、「公立か私立か」というだけでなく、多様な選択肢から最適な「学び方」を模索する時期になる。

『未来の年表』(講談社現代新書)の著者である河合雅司さんによれば、これからは地方を中心に公立小・中学校の合併が進み、男子校、女子校が共学になるなどの影響が顕著になるという。合併により、集まる生徒のレベルが維持できるのか、教師の質や進学実績が担保できるかなどの不確定要素が大きくなることは否めない。

 評価、教育事業を手がける「IGS」の代表取締役で「2050未来教育研究所」の名誉所長も務める福原正大さんは「学問の基礎的な訓練という点では、日本の公立小学校はレベルが高い」とし、小学校受験の必然性は低いと語る。ただ、公立か私立かで迷うよりも、「大切なことがある」と語る。

「大学進学以降、数理的な思考はこれまで以上に必要な素養になる。プログラミング経験を小学校から積み重ねると知識、技術だけでなく、デジタルネイティブとしてのリテラシーも身につく。アワー・オブ・コード(Code.org社が世界的に展開するプログラミング教育活動)などの無料コンテンツがあるので、お金をかける必要もありません。ただ、ICTリテラシー習得のためには、スマホではなくノートPCをきちんと使いこなせるようになるべきです。スマホではコードの読み書きもできない。先進国のエリート学生はノートPCを使いこなす能力が高く、日本は遅れています」

 その一方で、受験の低年齢化が進む可能性を指摘するのは、第一生命経済研究所上席主任研究員の的場康子さん。少子化で学校側の「囲い込み」が活発になるうえ、団塊ジュニアの親世代も自分が経験した受験競争から「学歴は大事」との意識がまだ根強く残っているからだという。

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