AI売買がより盛んになると、効率重視の投資スタンスからファーストリテイリングのような指数への寄与度が大きい銘柄に取引が集中するといわれる。加えて、上昇相場では値動きの軽い中小型株を平然と買い上がり、下落局面では問答無用に換金売りする投資傾向が強まるともされる。実際に「6日にサーキットブレーカー(過熱した取引を一時中断する措置)が2回発動したのは、中小型の新興企業が多い東証マザーズ指数の先物取引でした」(証券アナリスト)。

 今回米国株が暴落した5日は、パウエルFRB議長の就任日だった。前任イエレン氏の就任日には、ダウが326ドル安とやはり急落。実は、その2代前のグリーンスパン氏、3代前のボルカー氏の就任約2カ月後には、それぞれブラックマンデーとボルカー・ショックによる暴落があった。AIが「FRB議長就任=暴落」と学習していたのかもしれない。「相場の解説も受け持つ証券会社の担当部署には、かなり古い歴史に詳しいシルバー世代が珍重され、生き残るかも」(市場関係者)。近い将来、株価のニュースを報道するテレビ番組では、コンピューターを映すことになるのだろう。

(証券ジャーナリスト・天野秀夫)

AERA 2018年2月19日号