パナソニックには「祭祀担当」社員が実在! 老舗企業が「神」を必要とする理由 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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パナソニックには「祭祀担当」社員が実在! 老舗企業が「神」を必要とする理由

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渡辺豪AERA

金剛組/朝礼の冒頭、刀根健一社長を先頭に聖徳太子像に向かって拝礼する金剛組の社員たち。フロア全体が厳かな空気に包まれる=東京都中央区の同社東京本店、2017年12月15日午前8時半(撮影/写真部・小原雄輝)

金剛組/朝礼の冒頭、刀根健一社長を先頭に聖徳太子像に向かって拝礼する金剛組の社員たち。フロア全体が厳かな空気に包まれる=東京都中央区の同社東京本店、2017年12月15日午前8時半(撮影/写真部・小原雄輝)

パナソニック/白龍大明神が祀られた祠の前で穏やかな表情の田中観士さん=大阪府門真市のパナソニック本社敷地内(撮影/写真部・小原雄輝)

パナソニック/白龍大明神が祀られた祠の前で穏やかな表情の田中観士さん=大阪府門真市のパナソニック本社敷地内(撮影/写真部・小原雄輝)

全国の主な企業内神社[企業・創業家とゆかりのある神社も含む](AERA 2018年1月15日号より)

全国の主な企業内神社[企業・創業家とゆかりのある神社も含む](AERA 2018年1月15日号より)

全国の主な企業内神社[企業・創業家とゆかりのある神社も含む](AERA 2018年1月15日号より)

全国の主な企業内神社[企業・創業家とゆかりのある神社も含む](AERA 2018年1月15日号より)

 富岡八幡宮の事件に世は騒然となったが、多くの神社は金満や争いとは無縁の世界。年が明けて神社に詣で、よい年を祈願する経営者やビジネスパーソンは少なくない。企業と神さまの最前線を探ると、あなたと神さまの距離感も見えてくる。

【図表はこちら】全国の主な企業内神社

 東京・銀座の「金剛組(こんごうぐみ)」東京本店。大都会の真ん中のオフィスビルで突然、時空を超越したような光景に遭遇した。

「聖徳太子様に礼拝合掌(がっしょう)いたします」

 朝礼の冒頭。進行役の社員が厳かな口調でこう宣言すると、フロア内はピンと張り詰めた空気に包まれた。同社の刀根健一社長が慣れた手つきで、聖徳太子像が祀(まつ)られた御厨子(ずし)のろうそくに火を灯し、線香を立てた。

「それでは」。神妙な面持ちの社長がそう告げるや、中央壁際に設置された御厨子に向かって全社員が一斉に頭を下げ、手を合わせた。約30秒間の拝礼を終えたスーツ姿の社員の背中からは、邪気が払われたようなすがすがしさが漂う。

 本店長席の近くに「幹部十七条憲法」が掲示されている。聖徳太子が定めた十七条憲法に同社独自の解釈を加えた幹部社員向けの訓戒だ。第二条にはこう記されている。

「人は、元々弱いものであり神仏によらなければならない」

 神仏のおそれを知り善人であることに努めよ、という意味だ。

 世界最古の建設会社・金剛組。社の由来は飛鳥時代にさかのぼる。578年、聖徳太子の命を受けて3人の工匠が朝鮮半島の百済(くだら)から日本に招かれた。このうちの一人が金剛組初代の金剛重光だ。工匠たちは日本最初の官寺である四天王寺(大阪市天王寺区)の建立に携わる。重光は建立後も同地に留まり、改修や建て替えを担った。

 転機は明治維新。1868年の神仏分離令の余波を受け、以降、幾多の荒波に揉(も)まれた。2006年に高松建設が全額出資するグループ企業として再出発した金剛組は、四天王寺のおひざ元にある大阪市内の本社や東京本店など4事業所に御厨子を設置。毎月1日と15日の朝礼で「お太子様」への拝礼を欠かさない。

 刀根社長が言う。

「お太子様に招かれ、四天王寺様の『正大工職』をいただいたおかげで、今日まで商いを続けてこられました。感謝を示すのはごく自然なことと思います」

「太子信仰」は社員にも浸透している。営業社員が取引先と契約を結ぶ際、契約書を御厨子に供え、「いまから契約をいただいてまいります」と報告。帰社後は真っ先に御厨子に向かい、押印した契約書を示し、感謝の念を捧げる。御厨子で拝礼し、気合を入れてからプレゼンに臨む社員も。

 四天王寺は罹災(りさい)の歴史に見舞われてきた。1576年の石山寺の戦い、1614年の大坂冬の陣、1934年の室戸台風。

「記録に残っているだけでも17回罹災しています。その都度、当時の為政者だけでなく、檀家(だんか)さんや庶民も寄付してくれて再建しとるんです。この復元力はすごい」

 そう強調する刀根社長のまなざしは全国の寺社にも向けられている。


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