稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行
靴下アームウォーマーは寝る時も装着。朝までポカポカぐっすりです(撮影/本人提供)
靴下アームウォーマーは寝る時も装着。朝までポカポカぐっすりです(撮影/本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】稲垣さんオススメ!靴下を再生したアームウォーマーはこちら

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 さて先週、タオルを1年半かかって使い切った顛末を書きましたが、実はまだタオルストーリーは続くのでありました。ここまでとことん付き合った相手。いくら大穴が開いたからといっても、そのままゴミ箱行きは心がモヤつく。

 なので、穴のところで二つに切って、使い捨て雑巾に。床や壁やシンクの拭き掃除に活躍してもらい、真っ黒になったところで手を合わせて成仏していただこうと思ったのです。そうなったらふだん絶対拭かない棚の奥まで拭いたりしてさ。家はピカピカ。別れも爽やか。やれることはやりきった。ありがとう、さようなら。我が死に際もこのようにありたい。

 で、同様に、着古した下着や靴下も小さく切って鼻をかんだり汗を拭いたりするのに使い始めたら、あらま、気づけばティッシュ全然買ってない。私、もう一生ティッシュを買わないかもしれません。誠にモノとはこれほどまでに「使い出」のあるものなんであります。

 さらに最近は、成仏する前に「できればさらにもう一仕事」してほしいという思いが湧いてきて、つま先が薄くなった靴下の足首部分を切り取って室内用のアームウォーマーに。いやね、手首が温かいと全身が温かいんですよ。なので、今年はまだ湯たんぽを使うことなくノー暖房生活を機嫌良く送っております。

 で、さらに図に乗って複数の使い古し靴下をチクチク縫い合わせ、指なし手袋を作ってみました。愛用していた毛糸の手袋が破れてきたので買い替えねばと思っていたんだが、コレという品が見つからず悶々。で、ダメ元で作っちゃえと。材料はどうせ捨てるものなんだから失敗したって失うものなど何もない。で、ちゃんとできた! まあまあイケてるじゃないかと自画自賛です。

 かくして家庭科の成績2だった私がまさかの毎晩チクチク縫い物とかしてるわけだよ。いやー面白い。クリエイティブ魂爆発! 買っちゃうとこの楽しさはないんだよね。というわけで、ますます金が貯まるのでありました。

AERA 2017年12月25日号

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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