所得税の申告期限は、毎年3月15日ごろ。うっかり忘れていたという場合も含め、申告しないとどうなってしまうのか。



「個人の副業のような小規模所得には税務調査は入らない」などとも言われるが、植野さんによると100万円以上の振り込みは銀行から税務署に通知される場合がある。高額な入金や送金は把握されていると思ったほうがいい。

「所得税は納付すべき税金に加えて無申告加算税と延滞税が、住民税は延滞金がかかります。納付が遅れれば遅れるほど、納めなければならない税金は増えていきます」(植野さん)

 税務署が年によって、集中的に税務調査をする業種を決めているということも周知の事実。植野さんによれば今年度の対象は建設業。過去には外国為替証拠金取引(FX)やIT系が集中的に調査されたこともあった。

「取引先の会社に税務調査が入り、芋づる式にアフィリエイトをしている人の無申告が発覚したケースもあります」(植野さん)

 無申告は今年1月から課税が強化され、税務調査の前に自主的に申告をしても課税されるようになっているという。

●疑問その2 確定申告で副業がバレると聞きました

実際、確定申告によって、本業の会社に副業がバレる、ということがあるようだ。

 前出の税理士、植野さんの解説はこうだ。

 給与所得の人の場合、住民税は会社が給与から天引きして納税する「特別徴収」。住民税額は所得に応じて決まり、居住する市区町村役場から会社に通知される。

「副業の結果、住民税が本業で払った給与に見合わない額になってしまい、会社にバレるというケースがあるのです」

 会社の経理担当者に相談して住民税を自分で納める「普通徴収」に切り替えることは可能だが、その相談をしている時点で自分の副業を宣言しているようなもの。何らかの理由があって会社に内緒で副業したいなら、本末転倒だ。

 一方、雑所得や事業所得の人の場合、特別徴収か普通徴収かを自分で選ぶことができる。後者にしたいなら、確定申告書の「住民税の徴収方法の選択」という欄で「自分で納付」に○をつければいい。

 ただし、事業所得であっても赤字決算だった人は要注意だ。
「本業の所得と副業の赤字が損益通算され、住民税が安くなります。それが役所から会社に伝わり、副業が知られるきっかけになることがあるのです」(植野さん)

 何かを隠そうとすると、不具合が生じるということだ。(ライター・越膳綾子)

AERA 2017年12月18日号