日本からの出国者数は外国人・日本人合わせ年間約4千万人。1人1千円を徴収すれば400億円の財源が生まれる。これを観光振興に充てるというのだ。

 使途について政府部内で議論があった。税金は使い道を限定しない「一般財源」にするのが原則。使途を特定の分野に限定する「目的税」は法律で使い道を厳格に決める「特定財源」にすることになっている。

 新設される出国税は「使途は観光関連だが、目的税にはせず、制度としては一般財源の扱いにする」(財務省主税局)。つまり曖昧な扱いになるということだ。観光振興・訪日外国人の増加につながる政策だとして役人や政治家の判断でいかようにも使える「便利なカネ」になる余地を今回の新税は残している。東日本大震災の復興予算が役所の都合で復興と縁遠い費目に流用されたようなことが起きかねない。

 会見で出国税の使途を問われた菅官房長官はこう答えた。

「受益と負担の適正な在り方を勘案し、増加する観光需要に高次元の対応を行う観点から具体的な検討を深めていく」

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