新税ができれば、発生する財源を巡る主導権争いが始まるのは珍しいことではない。当初は地方にも観光財源として配分するという案もあったが、立ち消えになり、国が一括して管理する。「菅官房長官が400の財源を手中に収めたようなものだ」と霞が関ではささやかれている。

 そこに便乗するのが財務省・農林水産省・厚生労働省だ。出入国には税関や検疫・植物検査など関所がある。旅行者に迅速な対応をするため空港での検査体制改善に出国税を使おうというのである。新税の登場は予算分捕りを目指す役所にとって絶好の機会だ。

 使途を厳格に決めず一般財源にしたのは裁量の余地を広げるためでもある。新税は誰のためにあるのか。カネが流れ込む先への監視はますます重要になる。(ジャーナリスト・山田厚史)

AERA 2017年11月20日号