「車椅子やシニアカーの市場はアメリカが世界最大。いずれ行く市場なら最初から行こう。これが自然な考えでした」

 アメリカでは電動車椅子に乗ることへの抵抗感も日本人よりは小さい。WHILLの米国市場向け電動車椅子は16年に、米食品医薬品局(FDA)の医療機器としての認可も取得した。

 同社の製品は、いまは「電動車椅子」と呼ばれているが、杉江さんが目指すのは「パーソナルモビリティー」だ。

「障害があってもなくても、誰もが使える新しい乗り物が『パーソナルモビリティー』。今後は、これが普及していくと考えています」(杉江さん)

 同社の電動車椅子は、従来の「車椅子」のイメージを覆す、デザイン性に富んだ「かっこいい」見た目が特徴だ。これまでに、日米で千台以上を販売してきた。日本でも受け入れられつつあり、欧米に先駆けてこの春に販売を開始した普及モデルが、人気を集めている。(編集部・長倉克枝)

AERA 2017年11月13日号