左から、途家の楊昌楽(ヤンチャンルー)COO、日本途家の鈴木智子社長、楽天LIFULL STAYの太田宗克社長。8月2日の業務提携の発表会見で(都内)(撮影/山口亮子)
左から、途家の楊昌楽(ヤンチャンルー)COO、日本途家の鈴木智子社長、楽天LIFULL STAYの太田宗克社長。8月2日の業務提携の発表会見で(都内)(撮影/山口亮子)

 民泊はもともと欧米人の利用者が多く、日本で5万件超と最大の登録物件数を持つのは米大手のAirbnb(エアビーアンドビー)(以下エアビー)。しかし、このところ中国人や韓国人などの利用者が増えている。日本に渡航する中国人は2016年に約637万人と、外国人旅行者の4分の1を占め、その数は増加傾向だ。これまで多かったツアー旅行が個人旅行にシフトしつつあり、今後の伸びが期待される。

 エアビーの日本でのシェアは9割とも言われる。「住宅宿泊事業法(民泊新法)」成立後に続々と民泊事業に参入するようになった日本と中国企業はいずれも日本市場では後発なのだ。後発組にはエアビーと組む企業もある一方、対抗する動きも出てきている。

 エアビーの牙城に切り込もうとしているのは、中国民泊仲介大手の途家(トゥージア)。これまでは中国人オーナーや日本国籍を取得した中国出身者の持つ物件が多く、数ではエアビーに遠く及ばなかった。昨年、都内に「日本途家」を設立し、新法施行を前に、日本人オーナー所有のものを含めた登録物件数の増加に注力している。中国国内では、旅行情報サイト大手のCtrip(携程)とQunar(去※(※は口へんに那))の民泊部門を次々と買収し、情報発信力も強化している。

「統計によると、中国人旅行者で民泊に泊まったことがあるのは11.9%。これに対し、民泊に泊まってみたいと考えているのは25.2%で、2倍以上。民泊の潜在利用者は多い」

 日本途家社長の鈴木智子さん(50)はこう断言する。同社は25年には訪日中国人数が1350万人になり、中国人向け民泊市場が625億円の規模になると予測している。

「25年までに訪日中国人の民泊シェアで50%を目指したい」(鈴木さん)

 中国人が気にする床面積の情報を掲載したり、部屋数が多く広い物件を多めにそろえたりするなど、エアビーよりも中国人のニーズに寄り添うサービスで満足度を高めようとしている。集客力で競合を引き離しつつ、物件数も増やし、一定のマーケットシェアを取るという戦略だ。

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