党が独自候補として小選挙区に立てたのは、前出の細野氏や松原仁氏(東京3区)、長島昭久氏(東京21区)など衆院解散前に民進党を離れた議員や、元自民党の若狭氏(東京10区)、福田峰之氏(東京5区)など党の創設メンバーが中心。そこに地方議員や公務員、議員秘書の経験者などが加わる。比例単独候補では、会社員や医師などの民間出身者を多く擁立した。

 新顔の経歴を見ると、医師、弁護士、会社役員など、いわゆる「富裕層」が多い。小選挙区と比例代表の重複立候補を望む新顔に対しては、<供託金や党への寄付金など計700万円をすぐに用意するよう要求>とも報じられた。確実に候補者をそろえるための「苦肉の策」なのかもしれないが、政治家としての資質よりも、資金力が優先されるようでは、庶民の声は政治に反映されづらい。希望の党が公約に掲げる「ダイバーシティ社会の実現」を目指すならば、非正規社員や若年層など、もっと幅広く人材を登用しても良かったはずだ。

 小池氏が推進する「女性の活躍」の観点から見ても、女性候補者は全体の約20%に留まり、立憲民主党の約24%を下回る。小池氏は朝日新聞の取材に対してこう答えている。

「頑張ったんだけど、(解散が)突然だったので……。(立候補するために)会社を辞めたりするのも時間がかかるんですよね」

 事実、比例単独の候補者発表が10日の公示日ぎりぎりになり、比例名簿の表記にミスがあるなど、準備不足の感は否めない。あと1週間の選挙戦でどこまで盛り返せるか注目が集まる。

「候補者の中には、小池氏の強引なやり方に不満を持つベテラン議員もいます。すでに、選挙後には『希望の党が割れる』と見る向きもある。政党の基盤強化が急務となるでしょう」(前出の野上氏)

 今回の衆院選は、政治家の「信念」が問われる選挙ともなった。235人の候補者は、政治家としての可能性をさらけ出してほしい。(編集部・作田裕史)

AERA 2017年10月23日号