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ぐっちー「地方再生のカギは広島にある」

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 今年も首位をひた走る広島カープ。球団の戦略が一気に開花した感じですが、長らくカープファンをやっていると、とても不思議に感じるのは広島の街、人々なのです。

 今レギュラーで3番を打っている丸佳浩選手は千葉県の出身ですが、広島のテレビ局のインタビューで「千葉に帰っても家に帰ってきたという感じがそれほどあるわけではないんですが、広島に帰ってきて新幹線からマツダスタジアムが見えてくると、あー、家に帰ってきたな、という感じがするんですよねえ、菊池涼介選手(東京都出身)ともいつも話してますよ」と答えていたのを見て、ワタクシ自身も深く納得してしまいました。

 全く同じなんですよ。東京生まれ、東京育ち、ニューヨーク25年、岩手県紫波町8年、広島は住んだことがないというワタクシでさえ、広島に来ると帰ってきたなという感じを強く持つわけです。ここには広島という街の持っている独特の魅力が関わっているのではないかと思います。カープというコンセプトが街中に浸透し、それを中心にありとあらゆる人がつながれば、広島という街を形作るという、まさにあるべき地方都市の姿ではないでしょうか。もちろん、広島にもカープに興味のない人はいます。しかし、カープファンであることがある意味アイデンティティーになっているわけですね。

 地方再生ビジネスを日本全国で見てきて一番欠けているのがこの点だと思っています。何百億円もかけて維持費だけで赤字になるような美術館をつくってみたり、つまらない商業施設をつくってみたり、建物さえつくれば、あるいは新幹線などを通して便利になりさえすれば、地方が活性化するという思い込みが決定的に間違っているという証拠はいくらでもあります。

 カープは別に補助金も親会社の援助も受けていない。しかし、コンセプトが市民と私のようなよそ者にもアイデンティティーとなっているというのはすごいこと。ソフト面での価値観の共有ができるかどうか……ということこそが地方再生のカギになるという非常に重要なポイントではないでしょうか。ちなみにカープの今のレギュラー選手で広島出身なのは新井貴浩選手だけ。しかし、彼らは広島の象徴として毎日走り回っている。広島、グローバルなんです。

AERA 2017年9月11日号


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