日米英の家計金融資産の推移(AERA 2017年7月17日号より)
日米英の家計金融資産の推移(AERA 2017年7月17日号より)

 日本海にまた北のミサイルが着弾した。覇権国家アメリカでは“CNN”にラリアットする男が大統領だ。いつの世もリスクはつきものだが、いよいよニッポンもきな臭くなってきた。そんな時代に我が家の家計を、資産をどう守るか。苦難を乗り越え今に至る、隣の中国の「不動産投資」やインドの「金投資」から知恵をいざ、学ばん。AERA 2017年7月17日号では「中国とインドのお金を守る方法」を大特集。

 ゼロ金利でも預金は積み上がる一方。しかしこれからの時代、預金だけで虎の子は守れない。

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 投資といえば株式。でもチャートなんて読めないし……という初心者が、気軽にチャレンジできそうなのが株主優待銘柄。日常生活のほぼすべてを優待の金券や商品で賄う自転車おじさん、桐谷広人さんによって、いまやすっかり人気の投資法だが、異常事態も起きているという。

「優待は本来オマケに過ぎないのに、そのオマケ狙いの買いが集中し、株価が実力以上の高い水準にまでつり上がってしまう銘柄がある」

 そう警鐘を鳴らすのは、SBI証券の客員マーケットアナリスト、藤本誠之さんだ。例えば、少し前の日本マクドナルドホールディングス。2014年に発覚した期限切れ鶏肉使用問題をきっかけに、業績が急降下。通常なら株価も下がる局面で、食事券の優待目的で買われ続け、株価は高止まりした。

●優待でも投資の王道

「株主にはラッキーだったかもしれませんが、100円メニューが大当たりしていた頃より、不祥事で業績が悪化した期間のほうが株価が高いというのは、やはり異常。結果的にマクドナルドはV字回復したので良かったですが、通常、割高なものは暴落するリスクが高い。最悪、株券が紙切れになることだってあり得ます。初心者が、オマケだけを見て流行りの優待銘柄に手を出すのは危険です」(藤本さん)

 代わりに藤本さんが勧めるのは、優待銘柄の中で特に成長が見込める割安株を買う方法。オマケの内容より、企業が世の中のためになる商品やサービスを生み出しているかどうかを重視する、いわば株式投資の王道だ。

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