沖縄県に集中する在日米軍基地を県外自治体で引き取るよう呼び掛けている大阪、福岡、長崎、新潟、東京の5団体が4月、連携して活動の輪を広げようと「緊急連絡会」を結成。6月16日に都内で記者会見し、沖縄の米軍基地に関する全国の知事へのアンケート結果を発表するなど、全国世論に揺さぶりをかける取り組みを本格稼働している。

「基地引き取り」をめぐっては、「非現実的」「日米安保を問うのが先決」「根本解決にならない」など異論や批判もある。メンバーはどんな思いで活動に参加しているのか。それを知りたくて、5月20日に都内で開かれた「沖縄の基地を引き取る会・東京」の初の公開シンポジウムを取材した。

「本当に実現させることができるだろうか、これから先どのような道筋が描けるかという思いは今もあります」

 冒頭、共同代表の飯島信さん(69)は率直な思いを吐露した。

 飯島さんは日本基督教団の牧師だ。

 今年2月に会を立ち上げた際も、「ためらいはあった」と振り返る。「基地引き取り」は反基地運動に共感する人たちを含め理解を得られないのではないかとの思いもあり、対外的な発信は控えてきた。それでも、「本土」の沖縄への歴史的な加害性について理解を深める中で、活動方針を切り替えたという。

 もう一人の共同代表、カトリック教会司祭の浜崎眞実さん(52)は教団内の「正義と平和協議会」の一員として約20年間、辺野古に足を運び、反対運動にコミットしてきた。浜崎さんの心に焼きついているのは、10年にカトリック那覇教区から同協議会に向けて発せられた、こんなメッセージだという。

「基地反対を呼び掛け、沖縄に連帯して不正義に基づく沖縄の基地に真剣に取り組む姿勢があるなら、沖縄に来て<座り込み>や基地を取り巻く<人間の鎖>などに参加するよりも、東京で大集会を開いてください」

 身内からの指摘に、反発も覚えた。しかし、沖縄の基地をめぐる状況は悪くなる一方だと感じ、真の「連帯」の意味を考え直すようになった。浜崎さんは5月のシンポでこう告白した。

「基地はどこにもいらないとか、基地は命を壊すものだからいらないというのはある意味、自分で勝手に価値判断を下していることに気づいたのです。思考停止に陥っていたのかなと、今振り返ってみると考えさせられます」

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