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被害2億円も!修繕積立金トラブルの実際 悪質コンサルに巻き上げられる

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山岡淳一郎AERA

結局、管理組合は高い買い物になる…(AERA 2017年5月29日号より)

結局、管理組合は高い買い物になる…(AERA 2017年5月29日号より)

 現状でリベートの発生を防ぐ手立てについて、マンション問題に詳しい松田弘弁護士は、法的にこう指摘する。

「コンサルは管理組合の側に立って、誠実に委託契約の内容を履行する義務を負っている。それなのに、管理組合に内緒で施工会社を決めてリベートを取れば、民法上の委託契約の債務不履行に当たる。管理組合は損害賠償を請求できます」

 コンサルのなかには、業者のリベートに「保証料」や「営業委託料」の名目で堂々と領収書を出しているところもある。

「どんな領収書を出そうが、管理組合と結んだ契約で認めていなければ債務不履行です」

●情報の透明性を保つ

 大規模修繕を控えた管理組合がリベートを排除する策はないか。松田弁護士が私見を語る。

「契約書で『リベートは取らない』と約定すべき。リベートを取ったら、その2倍の違約金を払うなど特約条項を入れればいい。まじめなコンサルは痛くもかゆくもない。怒るコンサルはやましいからでしょう」

 リベートを根本から断つには、管理組合が情報の透明性を保ったうえで施工業者に直接、発注すればいい。「自分の財産は自分で守る」原点回帰である。

 大阪府枚方市の「労住まきのハイツ」(380戸)は、築後41年が過ぎた。現在、3度目の大規模修繕を、1戸当たり70万円の低コストで行っている。管理組合が工事仕様書の作成をリードし、コンサルを入れず、施工会社に発注しているからだ。修繕委員の尾崎孝光さんは言う。

「2回目の大規模修繕の際、コンサルがゼロから素人の私らにも教えてくれた。メーカーや資材の選定、現場対応など徹底的に勉強しました。そのときの仕様書がベースにある。もちろん、プラスアルファの工事も必要。だから施工会社には現場代理人(監督)の他に1級建築士のアドバイザーも派遣してもらっています。決してうぬぼれているわけではありません。信頼できるプロと二人三脚でやっています」

 尾崎さんは「ここを終のすみかにしたいから」と言い添えた。

 ニッチ産業で出発したマンション改修も、大規模修繕の市場規模が6千億円に達した。この10年で1.5倍の伸びである。市場はさらに広がる見通しだ。悪質コンサルの跋扈を防ぐことが、マンションの明日を決める。(ノンフィクション作家・山岡淳一郎)

AERA 2017年5月29日号


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