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もう「廃炉」しかない… 東芝を窮地に陥れた事業が東芝の未来を握る現実

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by 作田裕史 (更新 )

ウェスチングハウスが米ジョージア州で建設中の原発。2013年から工事を開始したが、現時点でまだ3割しか終わっていない (c)朝日新聞社

ウェスチングハウスが米ジョージア州で建設中の原発。2013年から工事を開始したが、現時点でまだ3割しか終わっていない (c)朝日新聞社

東芝が開発したサソリ型の調査ロボット。ことし2月、福島第一原発2号機に投入されたが、圧力容器の手前で走行不能に。回収は断念された (c)朝日新聞社

東芝が開発したサソリ型の調査ロボット。ことし2月、福島第一原発2号機に投入されたが、圧力容器の手前で走行不能に。回収は断念された (c)朝日新聞社

 沈まぬはずの“電機の巨艦”が1兆円超の巨額損失の渦に飲み込まれようとしている。原因は原発事業の失敗だ。成長期や昭和のニッポンを力強く牽引し、明日は今日より豊かな生活をもたらした名門企業で、一体何が起こったのか。そのとき社員や関係者は何を見て、どう感じたのか。そして何が元凶だったのか。AERA 2017年4月17日号では「苦境の東芝」を大特集。関係者証言やジャーナリストの分析で全貌に迫った。

 かつては花形と言われた原子力事業が、東芝を窮地に陥れた。同時に、この事業の今後が東芝の未来を握っている。この会社にはまだ、やらなければならないことがある。

*  *  *
「東芝は原子力事業から撤退しないでほしい。廃炉などの後始末もきちんとやって、子どもたちが困らないように責任を持ってほしい。勝手な言い分かもしれないが、それが願いです」

 東芝原子力事業部の中枢にいた男性OBの一人は、苦渋の表情でこう語った。

 前代未聞の巨額損失計上で、東芝の原子力事業は岐路に立たされている。巨額損失が明らかになったのは昨年12月。経緯を改めておさらいしよう。

 舞台はアメリカ。東芝が、成長戦略の柱として原発会社ウェスチングハウス(WH)を買収したのは2006年のことだ。WHは08年、ジョージア州で2基、サウスカロライナ州で2基、計4基の原発建設を受注した。エンジニアリング会社CB&Iの子会社で、WHと共同でこの4基を受注した建設会社のCB&Iストーン&ウェブスター(S&W)が、実務を担当した。

 11年3月、東日本大震災が起こる。福島第一原発の事故を受けて米国でも規制が強化され、建設中の4基は設計変更を迫られる。工期は遅れ、予算を上回るコストが発生した。その追加費用をどこが負担するかで折り合いがつかず、WH、S&W、CB&Iの3社は12年から訴訟合戦を繰り広げた。

●モノ作りより金もうけ

 15年12月、WHは原発建設を進めることを優先し、S&Wを買収することで対立関係を解消。結果、東芝は建設コストの増加リスクをグループ内に抱えてしまった。


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