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北朝鮮が瀬戸際外交を越える時 戦慄シミュレーション

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藤田直央AERA#北朝鮮

北朝鮮が保有するミサイル戦力(AERA 2017年4月10日号より)

北朝鮮が保有するミサイル戦力(AERA 2017年4月10日号より)

道下徳成さん(51)/政策研究大学院大学 教授/敵基地攻撃能力を含む「強い防衛力」をバックにした対話も必要と説く

道下徳成さん(51)/政策研究大学院大学 教授/敵基地攻撃能力を含む「強い防衛力」をバックにした対話も必要と説く

 米ソ冷戦が終わり核の脅威が遠のくかと思いきや、北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射が止まらない。もし日本に落ちた時の被害は。そしてどう防ぐか。

 瀬戸際外交、朝鮮半島紛争、そして自殺攻撃──。

 北朝鮮が日本をミサイル攻撃するシナリオとして、防衛省防衛研究所出身で、政策研究大学院大学教授の道下徳成氏(51)はこの三つを挙げる。

「瀬戸際外交」では、日米を譲歩させようと在日米軍基地がある日本のほうへ撃つ。被害に直結する領土でなく、領海に落としてミサイル能力を見せつける。「朝鮮半島紛争」では交戦する韓国を日米が支援しないよう威嚇する。「自殺攻撃」は金正恩(キムジョンウン)政権の崩壊寸前で、自暴自棄になった場合だ。

 北朝鮮は3月6日に弾道ミサイル4発を発射し、3発が秋田沖の日本の排他的経済水域(領海外)に落下。発射はほぼ同時で、ミサイル防衛(MD)で迎撃する場合の難易度は増す。朝鮮労働党機関紙の労働新聞は、有事に在日米軍基地攻撃を担う部隊が参加したと報じた。

 こうした動きに日米は譲歩どころか、「北朝鮮は米国を手玉に取ってきた」(17日のトランプ大統領のツイート)と反発。トランプ政権は軍事中枢を先にたたく「予防攻撃」も視野に対北朝鮮政策を見直す。労働新聞は19日付で米国に届く大陸間弾道弾(ICBM)開発のためとみられる地上燃焼実験を伝え、緊張が高まっている。

●韓国軍は「3倍返し」

 瀬戸際外交が破綻(はたん)すれば、朝鮮半島紛争シナリオへと移る。米国が「予防攻撃」に踏み切れば、北朝鮮はソウルを長距離砲などで「火の海」にして報復。韓国軍は交戦規定による「3倍返し」でまた報復、とエスカレートする。

 日米韓が結束すると勝ち目がない北朝鮮は、「日米が韓国を支援するなら日本を攻撃する」と恫喝。脅しの信憑性を高めようと、韓国の攻撃をかいくぐり、日本の都市をめがけてノドン数発を同時に放ちかねない。日本全土をほぼ射程に入れる中距離弾道ミサイルだ。マッハ15~20で複数の弾頭が同時に飛来する。MDは撃ち漏らすかもしれない。1発が着弾したら、どうなるか。


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