自己破産は自己再生のための術にすぎない(撮影/写真部・岸本 絢)
自己破産は自己再生のための術にすぎない(撮影/写真部・岸本 絢)

 非正規社員、失業、高齢化、病気――。いま、奨学金や住宅ローンなどの借金返済に困る人が増えている。明るい未来を担保にして借金が出来る時代は終わりつつあるのか。AERA 2017年4月3日号では「借金苦からの脱出」を大特集している。

 返しても返してもクビが回らず、自殺を考えたり、犯罪に手を染めたりなんて言語道断。堂々とやり直す一歩を踏み出そう。

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「借金をなくすのと減らすのは違います。なくすためには自己破産しかないけど、減らすための選択肢はたくさんあります」

 こう話すのは『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)などの著書で知られる吉田次郎さん(48)。大学卒業後、準大手商社で会社員として充実した日々を送っていたが、家業の連帯保証人になったことから7千万円以上の借金を背負い、壮絶な体験の末に自力で借金を激減させた経験を生かし、講演や執筆活動とともに事業再生コンサルタントとして活躍している。

 借金を減らす選択肢は症状の軽い順に(1)低金利への借り換え(2)任意整理(3)個人再生手続き──の3段階。

「任意整理は弁護士か司法書士が間に入るので、本人への取り立ての電話がなくなる。返しても返しても利息に取られて減らなかった借金が大部分は利息ゼロの3~5年の分割払いで完済できるようになります。裁判所に申し立てて行う個人再生手続きは、利息だけでなく元金も5分の1ぐらいにバッサリ減って、住宅ローン付きの家だけは守れます。だからある意味劇的に負担が軽くなる」(吉田さん)

 これらの段階は、返済を継続できる収入がある程度必要になり、その条件も満たさない場合、最後の手段として自己破産という流れになる。字面からして衝撃的で、真面目な人には許容しがたい「破産」だが、実際は自己再生のための術にすぎない。

「完済してやろうと意地を張っていましたが、破産してようやくリセットできた。クレジットカードが持てなくてローンも組めないけど、生活に支障はない。破産したほうが人生早く元通りになる」

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