●草間と私たちの距離

 今回の展覧会でもうひとつ、話題になっているものがある。550円でレンタルできる音声ガイドがそれ。草間さん自ら制作秘話を語るほか、自作の詩の朗読や歌まで収録されている。美術批評家の花房太一さん(33)はこのガイドを「今回の展覧会の最大の収穫」だと言う。

「草間さんの歌には美術作品のようなオリジナリティーはありません。でも、そこがすばらしいんです。私は自分の祖母を思い出しました。祖母の歌を聴いたことはないのに、頭の中でコラージュされる。草間さんが私たちとそう離れていない場所にいることを実感できますね」

 来場者が水玉のシールを自由に貼れる真っ白い部屋のインスタレーションあり、中学生以下の子どもと保護者だけが入場できるキッズデー(3月28日)あり。大人も子どもも、五感で草間ワールドにまみれよう。(ライター・福光恵)

AERA 2017年3月20日号