TPP後の日米交渉 農業は崖っぷちに (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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TPP後の日米交渉 農業は崖っぷちに

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山口亮子AERA#TPP
トランプ米大統領のTPP離脱表明を受け、日米はFTAなど二国間交渉へとかじを切る。これは日本農業にかつてない損失をもたらすかもしれない (※写真はイメージ)

トランプ米大統領のTPP離脱表明を受け、日米はFTAなど二国間交渉へとかじを切る。これは日本農業にかつてない損失をもたらすかもしれない (※写真はイメージ)

 ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任して約1カ月。新大統領は意に沿わない企業やメディアをツイッターなどで厳しい言葉で恫喝してきた。グローバル企業は戦々恐々としている。トランプ政権で世界はどう変わるのか。AERA 2017年2月27日号では、「トランプに勝つ日本企業」を大特集している。

 トランプ米大統領のTPP離脱表明を受け、日米はFTAなど二国間交渉へとかじを切る。米国からの要求はTPPより厳しくなる可能性大だ。いったい、今後の日本には、どんな影響があるのだろうか……。

*  *  *
「TPP(環太平洋経済連携協定)には、経営に大きなダメージがあるだろうから反対していた。米国の離脱で一安心というよりは、二国間交渉でTPPのときよりもっと状況が悪化するのではないかと心配している」

 こう話すのは熊本県阿蘇市で和牛60頭を飼育する山口力男さん(69)。熊本県は肉用牛の飼育数が全国4位。TPPで牛肉は38.5%の関税を段階的に引き下げ、16年目以降は9%になるとされた。山口さんが飼育するのは和牛でも「あか毛和牛」と呼ばれる褐毛和種。高級肉の黒毛和牛はTPPが発効しても影響は小さいとされる一方、褐毛は黒毛に比べてサシが入りにくく、黒毛ほどの高値がつかない場合が多い。

「肉質の格付けは最高ランクに達しないものが多く、米国産牛と競合することになる。コストの面で到底太刀打ちできない」

 気がかりなのは、米国の牛肉関連の農業団体の動向だ。TPPでの関税引き下げが実現せず不満を抱え、トランプ政権に盛んに圧力をかけている。

「二国間協議では関税をいきなりゼロにしろとか、シビアな要求に変わるのではないかと、畜産農家同士で話している」

 と不安を募らせる。農業ジャーナリストで、『亡国の密約 TPPはなぜ歪められたのか』(新潮社)の共著者・山田優さんも同様の見方だ。

●米でロビー活動激化

「米農務省はTPP合意で2025年までに関税が完全撤廃になった場合の影響額を、過去に試算している。それによると、米国の輸出増加額の半分以上は日本向けが占める。農業団体はそういうふうにそろばんをはじいていたから、TPP離脱には相当不満がある」


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