かつての東京の中心地は、明治22(1889)年に東京府が定めた15区から成る東京市だ。東の端は現在の浅草や深川まで含まれるが、西の端は現在の山手線の内側だ。

「昔は町はずれに兵器工場など軍の施設があった。例えば今の代々木公園を明治時代の地図で見ると、練兵場があるんです」

 実用的な地図の使い方も。『住まいのプロが教える家を買いたい人の本』など不動産に関する著書が多数あるフリー編集者の中川寛子さんは、昨年から路線価図を使った街歩きのスタディーツアーを実施している。

「土地の値段を左右する3大要素は利便性、居住環境、安全性。長年にわたり取引が行われてきた結果、路線図からそうした要素も読み取れます」

 例えば同じエリアでも、道を一つ挟むだけで安くなっている場所が。路線価図を片手に街を歩くことで、地形や地盤が土地にどのように影響しているかを探るのも面白い。

 路線価図は国税庁のホームページや全国地価マップなどから見ることができる。地図から広がる様々な世界。地図を手に散歩に出かけてみては。

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年2月20日号