「ベッドはゲストに貸して、自分はソファで寝ます。ゲストは大半が男性だから、洗濯物も置いといてくれれば、自分のと一緒に洗っちゃいますね(笑)」

 ウェブサイトの紹介文には、部屋のアピールポイントや、仕事柄、帰宅が深夜になること、近隣が住宅街であることなどを書き、文章だけでは伝えにくい家までの道順は、予約確定後に最寄り駅からの経路をiPhoneで撮影したムービーを送信して説明している。

●困りそうなことを想像

 英語力は「旅行では不自由しないけど、自信があるというほどでもない」というこの男性。以前、米ロサンゼルスへ旅行したときに「カウチ・サーフィン」を体験した。旅行者に自宅のカウチ(ソファ)を宿泊場所として無料で提供する、という発想から始まったインターネット上のコミュニティーだ。

「見ず知らずの自分を受け入れてくれたことがうれしかったし、最高の思い出にもなった。自分も日本へ来る外国人に同じことができないかな、と」

 宿泊代は1泊3千円前後。日本人との交流を求めて訪れたゲストと、ときにワインを飲みながら趣味の音楽の話で盛り上がり、帰宅が遅くなる日はまめにメールやLINEを送る。

「メッセージは『寒かったら、エアコンをつけていいよ』とか『おなかがすいたら、近くのスーパーに行ってみて』とか、自分の不在時にゲストが困りそうなことを想像して、書くようにしています」

 外国人ゲストが滞在後にAirbnbのサイトに書き込むレビューは、単語や表現の勉強にも役立つ。特に参考になるのが、ホストや街に対する「ほめ言葉」のバリエーション。果たして自分の住んでいる町は、外国人的にどうなのか。試みに自宅の最寄り駅名で空室検索してみると、50件以上の物件がヒットした。

 いくらなんでも、ただの住宅街。「退屈!(boring!)」なんて書かれてたりして……と思ったが、都心から離れているところがかえってよかった様子。なるほど、こういう見方もあったか。(ライター・木下昌子)

AERA 2017年2月6日号