外国人は物言いがストレートだというのも日本人の先入観だと男性は言う。

「彼らだって部屋を貸してくれた恩を感じているから、苦情や要望はオブラートに包んで伝えてくるし遠慮もします」

 書くにしろ話すにしろ、メッセージの最後を「Thank you」「Thanks」と締めくくれば、全体の印象が和らぐことも、外国人ゲストとやりとりする中で覚えた。

 都内で三つの物件をAirbnbに登録する会社員の男性(44)は、下北沢のアパートを訪れたオーストラリア人ゲストが、狭い路地に古着屋や雑貨屋、飲食店が並ぶ駅前の風景を見て、

「こういう街に泊まってみたかったんだよ!」

 と目を輝かせたことが忘れられない。ゲストたちは、Airbnbに「安さ」とは違った価値を求めている。

「例えば下北沢は、ローカルな雰囲気も楽しめて、新宿や渋谷へのアクセスもいいから、外国人旅行者からの人気が高い。でもホテルや旅館がない。だからAirbnbなんです」

 ホストに求められるのは、ゲストが日本を満喫するための気配りや手助けだ。

 空港から都心へのアクセスは「説明が一番楽なのはリムジンバス」だが、JRのパスを購入済みのゲストも多いので、電車での経路も必ず伝える。顔を合わせてすぐに「野球のチケットを取りたい」「この辺でおいしい寿司屋は?」と積極的に話しかけてくる欧米人に比べ、アジア人は口数が少ないので、緊張した様子なら「何時に日本に着いたの?」「今日は何をする予定なの?」と話しかける。

 心がけているのは、問い合わせのメールにはできるだけ早く返信することだ。

「ゲストにとって大切なのは、ホストの英語力より対応力。すぐに回答できない質問には、ひとまず『調べて後から連絡しますね』と返信するようにしています」

 都内の飲食店で働く男性(27)の自宅は、世田谷区にある1Kのアパート。ベッドとソファが1台ずつの部屋を、ゲストと共有するシェアルームとして登録している。

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