「無駄な抵抗だった。好きなダンスを好きな音楽で自由に踊る。それが究極の自己実現です」

 現在、多数のアニソンを含む100を超える動画を公開中。アニメ「月刊少女野崎くん」の主題歌「君じゃなきゃダメみたい」の動画はニコニコ動画で220万回以上再生されている。この歌を歌うオーイシマサヨシ本人も「ファンです」と連絡してきた。今年のニコニコ超会議では、アイドルグループA応Pが歌う「おそ松さん」の主題歌「全力バタンキュー」を踊ったが、その後A応PがRABの振り付けで踊り、「逆コラボ」を果たした。

 いまやテレビ番組「アニレゾ!!」でMCを務め、単独ライブも開催。かつて彼らを批判したブレイクダンス界の大御所も、

「おまえらの勝ちだよ」

 と彼らの存在を認めた。

●アニソンだからできる

 振り付けを担当するマロン(32)は、似ても似つかないように思えるアニソンとブレイクダンスが、実は似ていると話す。

「Aメロ、Bメロ、サビ、アウトロという構成は、ブレイクダンスの『エントリー』『フットワーク』『パワームーブ』『フリーズ』に重なります」

 アニソンだからこそ、できることもある。

「1分30秒という短時間に作品の世界観が詰まっている。奇想天外な展開もあるし、歌詞は日本語。ダンス音楽で踊るより表現の幅は広がったと思う」

 鍛え抜かれた本気の技術を、ポップな歌詞に乗せて見せつける1分30秒。彼らの「好き」が詰まっている。(編集部・澤志保)

AERA 2016年12月12日号